ロシアからインドシナ半島まで東アジアに広く分布するTakydromus 属のカナヘビは、黒色や茶色、緑色を基軸とした様々な体色を身にまとっています。そのうち日本には、ニホンカナヘビ、アムールカナヘビ、アオカナヘビ、ミヤコカナヘビ、サキシマカナヘビの5種がいます。興味深いことに、これらの体色変異は、種間だけでなく種内にもみられ、なかには、雄だけが、または雌だけが光沢のある体色を発色する種も存在します。これらの事実は、外温動物であるカナヘビが、種ごとに異なる生息環境にあわせて、捕食者の目を欺くための隠蔽効果や代謝活性を高めるための体温維持、さらには求愛信号など種内コミュニケーションとして、その体色を利用している可能性を示唆しています。私達は、このようなカナヘビの体色の多様性について研究しています。
(詳細は、また後ほど)
この研究プロジェクトは、1個対1個体をじっくりと観察・注目するアプローチと、広域に分布する本属のカナヘビ種間の比較アプローチからなっています。後者では、特に国内・外の研究者や研究機関との協力体制を構築しなければなりません。また調査地も、北は北海道から南はインドネシア、海岸域から3,000mをこす高山域までカバーしなくてはいけません。
以上の研究は、藤原ナチュラルヒストリー振興財団、公益財団法人琉球大学後援財団、琉球大学熱帯生物圏研究センター共同研究利用による助成のもと行われています。